第2回
それなのに休日を返上し、猛暑に耐え、自腹で遠出する。
すべての国政選挙に50年以上関わるのは並大抵の労力ではないのです。
なのになぜ続けられるのか問うと、大場さんからは意外な答えが返ってきました。
2019年に立憲民主党に入党
打越大場さんが立憲民主党に入ってくださったのはどういうきっかけからですか。
大場あなたの参議院選の時、西村ちなみさんが選対本部長だったでしょ。
打越はい。2019(令和元)年ですね。
大場あの時、当選祝いで魚沼に来た西村さんに 、立憲民主党に入党してもらえねんがと頼まれたわけ。
打越西村さんに。そうだったんですか。ありがとうございます、入党していただいて。
大場頼まれて、それで立憲民主党に入った。打越さんの参議院第二総支部所属になってくださいと言われたんだよ。人がいないんだというので。「民主党の時も会費は4000円だったな、同じだな」と思って、OKした(笑)。
選対の中の人と外の人
打越選挙の応援は大変ですよね。暑い中スタンディングとか。
大場俺はスタンディングは出てない。スタンディングは 社民党と共産党と市民グループ。
打越あ、そうなんですね。
大場立憲の魚沼市選対は俺のグループともうひとつのグループ。あとの立憲は市や県の職員だね。市役所、県職の組合。それからJR労組、郵便局、NTTの組合。そういう人は選対の役員に入らない。チラシ配り、名簿集め、スタンディング、そういう実際の選挙活動ができないから。
でも魚沼市だけで立憲の得票は今回3600、前回4千。人口減少もあるけど。やっぱり野党第1党で他の野党より桁違いに多い。選挙となれば立憲と書いてくれる人はそれだけいるんだ。
平和憲法を守るグループが選挙のたびに集結
打越選挙の時、前もって地域の皆さんが動き出してくださるじゃないですか。あれは何なんでしょう。上から指令がなくても皆さんやってくださる。
大場元はこれ。「うおぬま総がかり行動実行委員会」。 立憲も社民も共産も市民団体も入っている。 要するに平和憲法を守りたい人の集まり。9条を守るグループやの。
ここが母体で、たとえばさく良さんの選挙の時は「誰も取り残さない社会へ。ともに咲く。新潟魚沼の会」、米山隆一さんの時は「魚沼から国会議員を送る会」、森ゆうこさんの時は何つったか長い名前で。活動の選対はこのメンバーがみんな入ってる。
共産や社民が多いな。 地方議員がいるから。
車庫が事務所になった
打越このお部屋は資料でいっぱいですが、いつ頃からこうなっているんですか。
大場 もとはここは車庫だったんだけど。
打越ええっ、なんと!
大場30年くらい前かな。事務所がねえば不便だというので「じゃ俺んちでいいが」言うて。それからこうなった。
打越あ、そんな感じで。賃料はもらったんですか。
大場いや、そっけんのは、あれだ。
打越別にいいやと。
大場うん。
打越おおらかですね。
選挙の応援を続けてきた理由は
打越大場さんが選挙の応援を続けられるのはなぜでしょう。
大場それは、いままでやってきた延長線上。だんだんと俺はこっちへ来た。時代と流れ。
打越すごく大変じゃないですか、選挙の応援って。やる気が続くのはどうしてかなと。
大場わりかし頼まれると断れねえ性格で。
打越え、そういうこと!
大場頼まれれば、俺はできる範囲でやる、ってなっちゃう。
打越できる範囲がすごいです。
大場今回は知事選からだから、選対事務に4月から4カ月はりついた。
打越毎日何時から何時までやるんですか。
大場最初は10時から5時、それから9時から5時、その次8時から6時くらい。だんだん近くなってくると長くなる。専従は3人で、誰か1人は事務所にいるようにした。
打越ありがたいです。それも頼まれると断れないから?
大場そうそう(笑)。長年してるとブレ―ンができる。逆に、俺に頼まれれば断れねえって人が役員を受けてくれるんだ。
政治家後援会に勧誘する必殺の口説き文句
大場後援会のメンバーを増やすいちばんいい誘い方は何か。
打越なんでしょう。知りたいです。
大場それは「後援会に入れば一緒に旅行に行ける」(笑)。
打越そういうことですか!
大場県会議員でも国会議員でも後援会旅行やってる人はけっこういるがて。旅行好きの人は多いから。「おんなじ部屋にしよう」とか言うて(笑)。
打越はあ。楽しいですか、後援会旅行。
大場楽しいさ。宴会のスピーチとかいろいろあって。
打越企画しなきゃ。
大場歌ったり踊ったり。ほら、これは山形花笠音頭、天童温泉。女性陣も大勢。
打越 でも今はコロナでそういう企画ができないですね。人が集まることじたい難しくなっていて。申しわけないです。
選挙はなかなかままならないけれど
打越大場さんは選挙を応援しながら「これは勝ちそうだ」とか「難しいな」とか思ったりしますか。
大場今回の選挙はやっぱり連合の中の国民民主党が離れたのが致命傷になったという気が俺はしてる。前回は連合も国民民主も共闘して森ゆうこさんは入った。
打越2016年の時ですね。
大場やっぱり共闘しねば勝てないということだろの、誰が出ても。でも安倍さんの事件がなければ勝てた気もするんよ。
打越ふーむ。
大場無党派層がかなり弔い票で自民党に流れた気がする。あのテレビ見たらあの結果になっちゃう。
打越本当に森さんは残念でした。私も力が足りず申しわけありません。
大場選挙は、努力すれば結果が出るというもんではないところがのう……。
自民の候補ではいやなんだ
打越情勢がきびしいなと思っても、がんばれるのはなぜですか。
大場それはやっぱり、自民党の公認候補じゃいやだから。反自民だから。
打越もともとは角栄さんを応援してたけど、反自民。なぜですか。
大場地方では特にそうだけど、業界団体の経営者が皆自民党の執行部に入ってるでしょ。いわゆる独占で、仕事を割り振る。それ以外の人は蚊帳の外じゃねえかと。うちみたいな衣料品店とか。
災害復興も除雪も、自民党の建設関連業者に割り振る。国道高速道路、市町村道も元請け業者は決まってて、あとは下請け孫請け。そういう構造が長年できてしまってる。だから自民党いやなんだ。
憲法改正、原発再稼働…反対を続けたい
大場でもやっぱり自民党が勝って、柏崎、刈羽再稼働が政府の方針だし、憲法改正も、国民も維新も公明もみな自民党に賛同して、決まっていくよのう……。
打越「改憲に前のめりなのはよくない」と森ゆうこさんは訴えていました。賛成ですか。
大場魚沼の選対は憲法改正反対。今の憲法を守ると言う人の集まりでできた会。それは継続していくし。立憲、社民、共産、市民グループ、あと9条の会や新婦人の会。刈羽柏崎原発再稼働反対。これからもそれで行こうという方針なんだ。
打越大場さんもそれで行きたいと考えているんですね。
大場そうそう。
(つづきます)→第3回へ
大場三郎(おおば・さぶろう)
1950年、新潟県北魚沼郡広神村(現・魚沼市)生まれ。中学を卒業後、越後交通に入社。タクシー、バスの運転手として66歳まで勤める。その傍ら、田中角栄氏を応援する越山会をふり出しに、さまざまなな選挙で活動をする。2019年、立憲民主党に入党、打越さく良の第2総支部で幹事を担う。趣味の水泳ではマスターズ大会でたびたび上位入賞。携帯の着メロは「川の流れのように」。