参院予算委員会で被災地の声を届けました③
原発再稼働の見直し
他にも、二次避難や被災者生活再建支援法改正の必要などの質問も準備していましたが、時間がなく、最後に原発再稼働を取り上げました。
それというのも、能登半島地震で、志賀町の防災計画通りにはいかないことが明らかになったからです。道路が寸断され、家屋は倒壊し、避難も屋内退避もできないのですから。志賀町だけではありません。新潟県内の自治体からも、「大雪や震災時に避難が果たしてできるのか」と懸念の声が上がっています。
どこの防災計画でも複合災害は課題として指摘されるものの、実効性がある見通しを示していません。今回の能登半島地震を受け、規制委員会の山中委員長からして、屋内退避の方針の見直しに言及しました。柏崎刈羽原発については「あとは地元の同意のみ」かのような報道がなされていますが、自治体が策定している避難計画は現行の指針、見直しが必要な指針にのっとったものである以上、策定し直しは必至です。
「ということは、現行の避難計画のもとでは再稼働はあり得ませんね」と岸田総理に問いました。総理は「能登半島地震の教訓を踏まえながら、緊急時対応の改善に取り組む。規制委員会が新規制基準に適合すると認めない限り原発の再稼働は認められない」と答弁しましたが、基準が見直されるということ、避難計画の実効性の担保がないことなどどう考えておられるのか。またの機会に重ねて質問したいです。
差別デマ
差別デマのことも、時間切れで質問できませんでした。Xで1日の震災直後に、「能登半島に外国系の盗賊団が集結中」とする偽情報が投稿され、400万回以上閲覧されたのです。
1月12日に小泉法務大臣は記者会見で「偏見や差別を助長するような発信がみられる。重大な人権侵害になり得るので厳に慎んで」と発言しました。法務省人権擁護は、1月4日のXで「偏見や差別を助長する情報発信は人権侵害等になりうる」と注意喚起しました。
法務省の努力は認めますが、デマは400万回以上のインプレッション。人権擁護局のXは1.1万回。太刀打ちできません。差別や偏見に基づくデマが元となって犯罪行為、ヘイトクライムにも発展しかねないのですから、より積極的な対策を検討していただきたいです。総務省は、SNSで拡散する偽情報の対策について有識者チームを設置し検討するとのことですが、このチームで、偽情報一般だけではなく、差別デマ対策も検討していくことが望まれます(人種差別撤廃条約2条、4条、ヘイトスピーチ解消法前文、1条、4条、7条参照)。
まともに働く国会を
ところで、震災対応に専念すべき国会が、「裏金国会」と言わざるを得ない事態です。自民党は、裏金問題を派閥問題にすり替え、党内で「政治改革」に向けた「中間とりまとめ」を発表しました。しかし、そもそも裏金を何に使ったのか、説明責任を果たしていません。
1月27日の新潟日報朝刊では、県内の自民党議員(複数)も500万円超の裏金を認めながら「派閥からの指示」等、ご自身の責任を認めないかのよう。企業の不祥事でトップが「秘書がした」と責任回避できるでしょうか。
政治家こそ、国民からの「厳粛な信託」(憲法前文)に対する裏切りは厳しく問われるべきです。「政治は汚いもの」とあきらめては、裏金づくりをしても平気な政治に結果的に加担することになります。
「私たちはなぜ、投票に行くのでしょう。投票に行くこと自体に価値があるわけではありません。よりよい社会を作っていくことこそが大切なのです。公共社会を傷つける政治家に退場を求めるという戦略的な行動を取ることは、民主主義を成熟させる手段です」(江藤祥平一橋大学教授「公共社会 守るのは有権者」朝日新聞2024年1月26日朝刊)。
国会が、この国に暮らす人の困難を軽減する場となるように。あきらめず行動します。
(2024年2月)